第43章 ※現実
[ふざけないで……!]
[……私のこと何だと思っているの……!]
彼をぶったからなのか手の震えが止まらない
それほど怒りに溢れていたのだろう
冷ややかな瞳
彼はぶたれた途端氷のような視線を向けられ
いかにも興が冷めたと言わんばかりに見つめてくる
(………)
許せなかった
どうしても都合のいい道具のように扱っていると感じてしまって我慢ならなくなってしまって手を上げていた
初めてだ
彼に関してこういう"感情"を抱くのは
こんな事一切なかったのに
そう感じせざるをえないほど条くんを
(嫌)
嫌悪感が蛇のように絡みつく
嫌いだって
触れてほしくなかった
[条くんなんて………]
[………………っ]
何を言おうと思ったのだろう
分からない
ただ
彼に涙を見せてはいけない
何故かそう思ってしまって
急いで身支度を済ませ部屋を出る
早くこの場から離れたかった
一緒にいたいとも思えなくて
バタンと音を立てドアを開け一目散に外に出る
水滴が頭上に降り注ぐ
雨が痛いほど体を叩きつけているのを構わぬまま一心不乱に逃げていた