第5章 ※危機Ⅰ
[十亀条Side]
(一体どこに………)
( ちゃん……!)
あちこち走り回っているが見つからない
飲み屋街にもいないその近辺にも
連れ去られたのか暴力を受けているのかわからないが
ずっと嫌な感じがこびりついて離れない
何かに巻き込まれているというのは確か
早く駆けつけたかった
(杞憂だったらいいんだけどぉ……)
少し息を整える
もしかしたらここより離れたほうにいるのかと思い地面を蹴ろうとした時だった
(んぅ…?)
暗くて見えづらいが路地裏の方から声が聞こえる
聞いたことのある声
いつも優しく穏やかなあの
小さいが
間違いない
ちゃんの声だ
(もしかして…!!)
気づいた時には突風のように駆け抜けていた
声がした方に着いた途端受け入れがたい光景を目にしてしまう
ちゃんが男に襲われそうになっている
暗くて見えづらいが上半身がはだけていてあられもない姿にさせられているようだった
それに助けを待っていたんだろう
苦悶の表情をしながらこちらを見ていた
(ふざけるな)
俺は怒りで狂いそうになった