第43章 ※現実
この空間に立ち込める匂いに頭が可笑しくなりそうだし気持ち悪くて吐いてしまいそう
(………う……うぅ……)
思わず口を手で覆う
(それにしても…)
酷い その一言に尽きる
こんなに顔がボコボコになるまで殴るものなのか
"仲間"を
スカジャンを剥がされて
まるでお前らには似合わないとでも言っているかのように
[…………あれぇ…なんでいるのぉ]
[………ちゃん]
私の存在に気づいたのかぱっと手を離し近づいてくる
(これが…彼?)
襟足があった髪を三つ編みに結び作務衣できっちりまとめ
"何か"見ないようになのかオレンジのサングラスをして遮光している
瞳の深奥を見せないように狂った笑みを浮かべて
[条く……ん……]
[何やってるの……?]
震えながらようやく言葉を絞り出す
もっと聞くべきことは沢山あったのに
この現状は一体何なのか聞かないと気がすまなかった
[んー…コイツら馬鹿なことしたんだってぇ]
[…何…を……?]
[敵に負けておめおめと帰ってきたんだよぉ]
[まぁ尻ぬぐいは俺がしたけどぉ]
(…何を言ってるの…?)
理解できない さっきから耳を疑う言葉ばかり
前の彼はそんな事なんて言わなかった
仲間を想って行動していた優しい人なのに
[そんな事……なんで]
[え 簡単じゃん]
[弱いやつはぁ獅子頭連にはいらないからぁ]
へらぁとしながらそういう彼は物悲しそうに見えた