第42章 戦慄
(……もう少ししたら)
オリへ着く
緊張と不安が入り混じりながらも足を進めている
ここの飲食街はほとんどが飲み屋だからか閑散としているけど夜になるとお祭りのような騒ぎになる
けれど今はその静かさがありがたい
"彼"を探すのに最適だから
もし見つからなくても獅子頭連の人達が見つかれば話ができるだろう
話してくれるかもわからないけど何もしないよりはいい
とにかく会って話を
その気持ちが私を突き動かしていた
(…………って…ん?)
話し声が裏路地から聞こえる
気の所為かなと思ったけどそうではなさそうだ
明らかに人が会話している
(……もしかして)
条くんなのか
つい淡い期待をしてしまう
(……行ってみる…?)
無性に気になって仕方ない
なら尚の事行かなくては
"結果がどうであれ"
ゴクリと生唾を飲み込み恐る恐る路地の方へ踏み込むと
[え]
その"光景"をみた瞬間私は固まるしか無かった
鉄の匂い
血溜まりの池
周辺には人が倒れている
[………は……]
息をするのも憚れる
そして
[………まだだろぉ]
[………あ…が……]
[伸びんの早]
(……………何……これ…)
条くんが
彼が胸ぐらを掴み意識を失いかけている人の頬を殴っている姿に動揺せざるを負えなかった