第39章 不穏
[次期頭取が決まりそう…?]
洗ったお皿を拭いていたら物騒な話が聞こえてしまい思わず手が止まる
そういう話をしていたのは知っていたものの気が気でない
[うん〜!そうなんだぁ!そろそろ決めるって話でさ〜]
[大丈夫なの…?怪我しないといいけど…]
[うん!平気〜!怪我してもお姉ちゃんいるし!]
ひまわりのような明るい笑顔でにぱっと返事をしてくれる
丁子くんが頭取を目指していたのは知っているし応援はしている
怪我をしてしまうのは心配でたまらないけど彼はきっと曲げないだろう
だから
[……もう…気をつけなきゃだよ]
こう言うしかないのだ
心配性にも程があるのだろうけど私にはそれしか言えない
手当ぐらいしか私にはできることはないから
[うん!]
[その…条くんは…]
隣でお皿を洗ってくれている彼にちらりと目を向けてみる
頭取になる気はないと言っていたけど不安になってしまい恐る恐る聞くと
[俺はそんな気ないない〜]
[大丈夫だよ〜ちゃん]
安心してと言わんばかりの笑みを私に向けてくれる
その一言に聞いてホッとするも
[え〜!亀ちゃん〜!それはないって!]
[俺達競争しよって言ったじゃん!]
[沼ちゃんも有馬も鰐ちゃんも!みんなで!]
[まぁ〜そうだけど]
[約束したじゃ〜ん!]
(なんだろ…)
喉に刺さった小骨のように心が引っかかって仕方ない
微笑ましい光景だけれどそれが決まってしまったら何か変わりそうな気がしてしまって
(……気の所為だよね)
そう思わないとざわざわして仕方ないほど私の心は揺れ動いていた