第38章 番外編③ 贈り物
ポタポタと涙が水滴のように零れている
この様子だと悲しくて泣いているわけじゃなくて
(嬉しかった…からかな…)
涙を拭いながら実感している
彼女の事だから喜びのあまり感極まったんだろうなぁと
長年彼女の表情を見てきたから理解してしまうのだ
ちゃん
あんな風に嬉しがって泣いたり怒ったり様々なものをに魅せてくれる
それほど心を許してくれて俺は
(……………幸せだなぁ)
ちゃんが涙を流していて不謹慎なのは重々承知しているがコロコロと変わる表情の彼女は見ていて飽きることはない
(ふふ……可愛い…)
全てに置いて愛おしくてたまらない
大好きなちゃん
[俺もだからぁ]
慰めるように彼女にコツンと額をぶつけると目線が絡み合う
(…………)
鮮やかな橙色の宝石が俺を捉えてくる
泣いていたことなんて何だったんだろうと思わせるほど笑みがこみ上げてきて
(………ふふ)
それが楽しくてずっとこのまま浸っていたいほどだ
彼女も同じなのか笑いが止まらない
(………うん)
俺たちはこうしてずっと楽しく笑いあえるって確信していた
この時はそんなことも考えずお気楽だったのだと痛感する
"あの日"が起きるまでは