第5章 ※危機Ⅰ
[ ちゃん!!!]
聞き慣れた声が聞こえる
この安心させてくれる声色は
(もしかして条くん…!??)
こちらに走ってくる
何をされているか気づいたようだった
[ちっ……餓鬼かよ…]
乱入してきたからか不服そうな顔だ
男は私から手を離しナイフのようなものを取り出す
(う……そ!)
(まさか……刺すつもりじや…!)
[じ…条くん…!げほ…]
条くんに伝えようとしたけど
口の中の血が混じったのもありうまく喋れない
(まずい…!!まずい…!)
このままだと怪我をしてしまうのに伝える方法がなくてわからない
(どうしたら…いいの…!)
既に男は条くんに走り狙いを定めながら
[邪魔だ!くそ餓鬼!]
そう言いナイフで刺そうとしていた
(いや……!)
(条くんが刺されちゃう…!!)
そう思い手で目を覆う
あまりにも凄惨な光景になってしまうそう思って
(私のせいで……なんてことを…)
(ってん……??)
数分くらい立った感覚だがおかしい
悲鳴というかそういった類が聞こえない
音はしたけど声ではないし
一体何が起こったのか確認したくてゆっくり瞼を開けると
(え……………)
いつの間にか条くんが刃物をものともせず
男が地面に伏していた