第34章 告白Ⅱ
[ここだとぉ静かだしぃお喋りできるねぇ]
[…………ここって…]
撫でるような風が頬を伝う
そう言いながら連れてこられたのは近くの神社
私と彼がお祭りで来ていた所だった
(懐かしい)
あんなに騒がしかったのが嘘のように静かだ
人っ子ひとりいない
もう訪れたのは一ヶ月前のはずなのに妙に懐かしい気分になっていた
苺飴を食べたり射的をしてお面を買ってあの楽しさは忘れられるものではない
まぁ丁子くん達獅子頭連達が来たりして色々と驚きはしたものの今では笑い話だ
それに会わなければ条くんはこんな風に素敵な仲間に出会えることもなかっただろう
拝殿前を見つめ
[NAME1#ちゃん…?]
[あ……!ごめん…ボッーとしちゃって]
[その…ここ懐かしいと思って…たった一ヶ月程度なんだけど]
[楽しかったよね…はしゃいじゃったもん]
ふと言葉に出てしまう
かけがえのない時間だった
私にとって一生忘れられない彼との初めてのお出かけ
(条くんも同じ気持ちなのかな…)
(どうなんだろ…)
何気なくそう浮かんでいただけであって大して考えていた訳ではなかったのだが
[…うんそうだねぇ]
[俺も楽しくて仕方なかったよぉ]
ニコッと優しく微笑んでくれる
どうやら私と同じ気持ちでいてくれたみたい
(嬉しい…)
(…………私)
やっぱりこの人のことが大好きだ
この笑顔を見ると再認識される
条くんが好きだって
だから
(後悔したくないし)
(もう逃げたくない…)
[………あの…条くん]
[んぅ?]
[…あの時逃げてごめんなさい]