第33章 決意Ⅰ
[……は……は]
額から汗が滴り落ちている
待っててって言われたのに我慢できず走ってきてしまった
たぶん彼はオリにいるだろうからそこを目指せばいいって安直な考えかもしれないけど
(………でも)
じっとしていられなかった
何度でも言うようだけど早く会いたくてたまらなかったから
遅いけどやっと自覚したこの想い 私にとっては初めての恋だ
きっと彼にしかこの思いは抱けないと思えるほど条くんのことが大好きだから
(………って)
(それにしても…条くんどこらへんにいるんだろ…)
何も考えず走ってきてしまった
彼はどこにいるのだろうか連絡をしようとスマホをポケットから取り出そうとすると
[…?ちゃん…!]
条くんだ
彼も私がここまで来てるなんて知らなかったのか目が瞬いている
そんな事も露知らず
[………条くん!]
[わっ……!]
[ちゃん……!?]
私は彼の胸にめがけて飛びつく
(ああ)
落ち着くあの石鹸の香り
少し汗ばんでいるみたいだけどそんなのどうでもいいほど彼なのか実在するのか確かめたかった
[……?……ちゃん…?]
[どうしたのぉ…?]
彼の声でハッとする
私気持ち逸ってなんてことを
条くんもまさか私が抱きつくという流石の出来事にオロオロしているみたいだ
[あ……!ご、ごめん!条くん!]
そう言われてすぐさま離れるも
(は、恥ずかしい……)
きまりが悪そうにぱっと顔が赤くなる
なんだかいけないことをしてしまった気分になってしまい更に紅潮する
(もう…余計に)
話が切り出しにくくなってしまったとそう思っていたら
[………ここじゃあなんだしぃ]
[場所…変えよっかぁ]