第33章 決意Ⅰ
[十亀条Side]
[えぇ?]
本当だ
着信音がなっているのに気づかないほど考えていたらしい
ポケットからスマホを取り出すと
[………!ちゃ……]
待ち望んでいた人からの電話
まさか来るとは思わず喜びが溢れ出るも
(……………俺ぇ)
出ても大丈夫なのかなぁ
自分で言っておいてなんだけどちゃんに嫌なことをしてしまったからぁ
申し訳ない気持ちで一杯だ
(このまま…)
出ないほうが彼女のためなんじゃないだろうかぁ
ボタンを押すのを躊躇ってしまう
[…出なくていいのか?]
[待っていた奴からの電話なんじゃないのか?]
そうだ
俺の大好きな人
この世の中で一番大切なのに傷つけてしまった
そんな資格あるのだろうか
(俺は……)
[条…]
[……後悔したくないなら出るべきだぞ]
[まだ間に合うんじゃないか]
鰐島に言われハッと気づく
そうだ 俺はまだ諦めきれていない いや諦めていない
一縷の望みではあるが連絡してくれたと言うことは可能性があるかもしれないということだから
(…………やるしかないよねぇ)
喧嘩と同じで真正面にぶつかるしかない
だったら尚更固まっている場合じゃないよねぇこれ
彼女はきっと勇気を振り絞って俺に電話してくれたのだ
そんな好意を無碍になんて出来ない
[ちょっと俺ぇ外すねぇ…!]
[ああ]
急いで人気のいない場所まで走る
嬉しい反面緊張してしまい手が震えている
(けどぉ…)
出なかったら一生後悔する それだけは確かだ
(…………よぉし…)
何を言われても覚悟しなきゃだねぇ
そう思い通話ボタンを押す
[も、もしもしぃ…]
[莉子ちゃん………!?]