第30章 発覚
(一歩踏み出す……)
その言葉がどれほど重くのしかかっているのか
気負いすぎと言われればそれまでだろうが背中に岩でも乗っているかのように体が重たく感じてしまう
(…………できるかな)
不安で思わず足がすくんでしまう
そんな様子だからか心配したらしく椿ちゃんが近くに寄ってきて私の手をきゅと握りしめる
[ごめんなさいね混乱させるつもりはなかったの]
[ただ後悔しないようにするのが一番よ]
申し訳なさそうに謝る
彼女が悪いわけではないのに
私が勝手に怯えて怖がっているだけ
[ううん…椿ちゃんが謝ることじゃないよ]
そう
私に一番足りないのは覚悟 私が決意しないから
今まで考えていたことなのにぐるぐる迷宮のように悩んで答えを先延ばしにしているだけ
言われて気づくなんてどんたけ鈍感なんだ私
(…………でも)
心の中にずっと
後悔したくない
それが根強く残っている
条くんが好きというこの想いは本物だからこそ理解できる
今更すぎて恥ずかしいけど
(…………私)
今まで辛く逃げてばかりの人生だった
これからは いやこの先は
何があっても後悔したくない
例え断れたとしても私のこの想いを伝えたいと思ってしまったから
(…………………本当遅すぎかも)
呆れた笑みが出てしまう
けれどそれは決して悪いものではなかった
一呼吸おき
[………私]
[話してみる]
[彼に…好きって]