第30章 発覚
[………つ、椿……ちゃ…]
言われるがまま顔を上げるけどボロボロと止まりそうにもないますます雫が溢れ出る
下手すると子供の泣き顔よりも酷いかしれないけどそんな事を考えている余裕はなかった
[……ぅ………]
[………]
慰めてくれているのか背中を優しく擦ってくれている
ゆっくりゆったりと少しでも私が落ち着くように
こんな事誰にも言ったことなどなかった
おばあちゃんにもおじいちゃんにも
誰にも誰にも誰にも
(……………誰にも)
それほど私の心を預けられる人なのだ椿ちゃんは
強くて優しくて綺麗な
私の誇れる親友
親友 そう言って許されるのならの話なのかもしれないが
彼女はそれほど私にとって大きな存在なのだ
[う………っう…………]
[……]
[まずは落ち着きなさい]
椿ちゃんは心配そうに私の顔を見ながらボロボロと流れ出る大粒の涙を綺麗な指で掬ってくれている
すぅと息を吸い込み
[……あのね]
[誰にだって幸せになる権利はあるのよ]
[あなたは今まで頑張ってきたんだもの]
[それは許されていいことなのよ]
[……………っ………]
そんな
いいのだろうか私に幸せになる権利なんてあるのだろうか
幸せって何?
優しいこと言われたら信じてしまいそうになる
けれど
[………ひっく……でも…]
どうしても否定的な考えになってしまう
私といれば色々なものに雁字搦めになるだろうから
考えすぎと言われればそれまでなのかもしれないが頭に焼き付いて離れない
[………]
[大丈夫よ]
するりと頬を撫でる
愛おしいものでも撫でているようにそっと
[だって好きなんでしょ]
[彼のこと]
[え]
(好き)
(私が)
私は彼女に言われてようやく気づいた
私は条くんのことが好きなんだと事実に