第29章 苦悩
[………………はぁ]
掃いているほうきの手をつい止める
これで何度目のため息だろうか10回以上いやそれ以上吐いている
そしてまた似たような感じに見舞われている状況なのだ
(…………………)
(未だに信じられない)
まさか条くんから告白されるなんて思ってもいなかった
それが現実なのかわからなくて夢でも見ているかと錯覚するほど嘘なんじゃないかって信じられない気持ちでいっぱいなのだから
でもあの言葉が心に響いているから
嘘じゃないことは確実
(……………………)
あの後私は
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[…………………ごめんなさい]
受け入れられない
それが私の出した答えだった
[えっ………]
答えを聞いた途端条くんの抱きしめていた手が力が抜け始める
その隙に離れると先程とは打って変わって表情が暗くなって呆然としているようだ
無理もない
私は彼の好意を無下にしたのだから
私なんかを受け入れたら彼は
(……………………)
[……ちゃ…]
[その気持ちには応えられません]
[ごめんなさい]
深くお辞儀をして謝る
納得してくれないのは当然だとわかってはいるがこれが私にできる精一杯のやり方だった
[……ちゃ…]
[ごめんなさい帰ります]
[…………まっ……!]
この場にいたくない
その思いで一生懸命で条くんの気持ちなんか構わなくて
呼び止められるも私は構わず半ば走って逃げ出していたのだ