第28章 番外編② 御礼
[梶蓮Side]
(……………は?)
の声を聞いてハッと我に返る
何をしていたかと思えば頬を触っていてこいつの顔がリンゴのように色づいている
(……………………)
何をやっているんだ俺は
悪いことをしてしまった手を出すなんてそんな事をするなんて微塵も思っていなかったこれは間違いない
その自覚が強いからかモゴモゴと言いながら謝る
(…………くそ)
またやってしまったのかやはりこいつ相手だからなのか調子が狂う
それに言葉を上手く伝えられない子供でもあるまいに
昔からそういった話すのも謝るのも苦手だったがここまでひどいとは
(とんだ野郎だな本当に)
自分のやっていることに恥ずかしくなり始めたそんな時
(……………!)
(笑った)
急にこいつが笑い始めたその瞬間空気が和やかになる
なぜかは分からないが笑いがこらえきれず漏れ出してしまったようだ
(ああ)
俺のしたことなんて気にせず逆に笑ってのけている
まぁたぶん原因はきっと今の言い方なのかもしれないが
(…………………)
不思議だ
前から思ってはいたがこいつはそこらへんの女とは違う
へこへことしてすぐ謝まりはするがその実優しくて思いやりがあってこうしてちゃんと気遣ってもくれて
(…………………)
いい奴すぎる言うなればお人好しなんだろう
いつもだと人に対してこんなに深く見入ることはないのに
眩しい
そして
美しい
お前の笑顔に陰りが見えてほしくない
忘れないでほしいだからこそなのか
[…………お前はやっぱり笑っていたほうがいい]]