第28章 番外編② 御礼
そう言い彼はまた頭を撫でる今度はくしゃくしゃと乱暴に
しかも両手というおまけつきだ
[か、梶さん……!もう!]
[……………ふっ]
からかわれているように感じるけど不思議と嫌ではなかった
彼だったらこんな扱いをされてもいいと思っていたから
[…………もう帰る]
[…また来てやるから]
そう言い彼は手を離れる
名残惜しそうに見えたのは彼が少し悲しい顔つきに見えたような気がするからなのだがいやもしや私が彼と離れたりするのが悲しくて錯覚が見えたからかもしれない
[………はい…!また…]
[…早く敬語なくしておけよ]
(う…)
痛い所をまた突かれる
まぁ確かに年下に敬語もおかしいかもしれないけど
というか友達?としての付き合い方が未だに分からすぎる
誰か助けて
[………うっ…追々……が、頑張りま…]
[が…頑張る………]
また敬語出てしまったけど最早これは慣れるしかないよね
無理ですって言いたくなちゃう いや無理これ
うだうだ言っても仕方ない自分早く慣れなきゃと焦っていた思いを汲んでくれたのか
[………まぁ無理せずな]
[じゃあな]
[は…はい!]
彼なりの優しい言葉をくれた後白いヘッドフォンを装着して背中を向ける
1メートルばかり歩いたところ
[またね………!梶さん…!]
つい言葉が出てしまっていたさっき言ったばかりなのに私は何故か声をかけたくて仕方なかった
(あ………)
それはいいのだが彼はヘッドフォンで耳を塞いでいる聞こえてないという事実に言った後気づいた途端
(え!?)
まさかの聞こえていたらしく振り返り手をひらりと振られる
その後はすぐ歩み始める
(聞こえてたんだ…)
呆然としてしてしまっていたけど梶さんらしさに思わずくすりと笑ってしまう
やっぱり彼は優しいそれもとびきりに
私は背中が見えなくなるまでお祭りの時に振れなかった分手を振り続けていた