第27章 一歩Ⅰ
条くんが屋上のドアを開けるとブワッと風が舞う
(すごい風…)
あまりにも強く目が開けられず手で目を隠す
風が収まりゆっくりと目を開けると
[大丈夫ぅ……?ちゃん]
心配してくれたのか条くんが近寄ってきてくれたようだ
それにしても顔が近い心配してくれるのは嬉しいけど鼻と鼻が触れそうだ あまりの距離に頬に熱が集まる
[…………っう、うん……大丈夫…!]
少し足を後ろに引き距離をとる
これ以上近いと心臓がおかしくなる 正直言うとしんどい
[………そぉお…?風強かったから心配しちゃってぇ]
[あ、ありがとう…!ごめん…ボーしてて…]
そんな考えを彼に言えるはずもなく良心が痛むけど仕方ない少し落ち着かないと
気分を変えて周りを意識し始めると
(うわぁ………………)
曇りない青空 澄み渡る太陽
あんなに強かった風は今は心地よく吹いていて気持ちいい
ここが彼が好きな場所
寝るには最適だろうな彼のことだから日当たりのいいところとか知っていそう
そんな姿を想像するとくすっと笑いがこみ上げてくる
(ん………?声………?)
下の方からだもう少し進み手すりに掴まると丁子くん達が楽しそうに談笑している姿が見れる
誰もが等しく接していて仲間で笑顔が絶えない
叶うなら永遠に続いてほしい景色
ああこれは
[条くん………この場所………]
[んぅ?]
[………本当素敵だね…!]