第25章 オリへ
(………急に言われても)
どうしよ
それしか言えないのも悪いんだろうけど言葉が出てこない
何を言えば正解かもわからないしそれに
(条くんは私に何を言いたいの)
わからない
何を求めているのかが
けれど彼は真剣に私に問いかけているようだった
柔らかい翠の瞳の奥が揺らいでいるように見える
答えをもらえないと苦しい
今にでも聞きたいような気がして
(………………条くん…)
彼を救うにはどう答えるべきなのだろうか
考えあぐねている
でもこのまま話さないのは駄目なような気がしてしまい
[私…………]
[ごめん]
[……え?]
何か間違ってしまっただろうか突然彼の方から謝られる
(なんで………?)
意味が分からず呆然としていると
[俺ぇ変なこと言ったね…気にしないでぇ]
さっきの神妙な顔つきと違って穏やかな顔つきに戻っている
確かに驚きはしたものの条くんが悪いわけではないのに訂正しようとするも
[で…でも………]
[早くお茶持っていかないとぉちょーじ来ちゃうだろうから淹れようかぁ]
[っ………そ…そうだね…]
スッと体勢を変え机の茶葉を取りに行く
にこやかな表情をしているも
これ以上聞いちゃいけない
そんな雰囲気を肌でピリピリと感じてしまい口を噤む
[あ、これ使っていいよねぇ〜]
[う、うん…!大丈夫だよ]
会話しているけどあの条くんの問いかけがずっと頭をぐるぐるとしている
正直言うとお茶どころではない
彼は私に何を聞きたかったのだろうか
お茶の準備をしていて手元がおぼつかず普通にしているのがやっとだった