第23章 誤解
[十亀条Side]
[嫌いになったぁ…?]
(ちゃんに嫌われたんだろうか)
(嘘……だよねぇ…)
不安でたまらないからか言葉を止めねばと思うのに溢れ出る
実感してしまうのだ
本当に嫌われたんだと
今思うと早合点だ
そう言われた訳でもないのにあの時は正常な判断ができない自分がいて
(…………俺…………)
そう理解し始めたからなのか徐々に視界が暗くなる感覚に襲われ焦りなのか額から汗がこぼれ始めてくる
本当に信じたくなかった
信じたくない
嫌だ
(嫌だなぁ………)
好きな子に嫌われるのは苦痛でしかない
辛い
その一言に尽きる
そう思い始めたからなのか顔が上げられなくなっていたその瞬間
[あの…条くん…]
心の隙間にひゅと通り抜けてくるあの優しい声が響く
何に期待したのか俺は顔を上げてしまう
みっともない顔だろうけどぉ
呼びかけられたからにはこのままだと無作法だと思ったから
きっと嫌だからもう近づかないほしいと言われるんだろうと
けれどその予想は遥か上で
小さい唇から言葉が発せられた時俺はただ
まるで茹でたこのように赤くなっているしかなかった