第21章 必死
[十亀条Side]
(行って欲しいってぇ…ことなのかな)
俺を案じてそう言っているだけなのかなぁ
どうしてなのかが理解できない
でもちゃんにあんなことをしておいて許せない
手を掴んであんな乱暴にして
好きな女の人に手を出しそうになった事実が
その旨を伝えるとちゃんが不思議な表情をしているというか俺が言ってやっとああと納得して気づいたように見える
もしかしてだけどぉ
(全然気にしてなかったのぉ……?)
逆にこっちのほうが驚いてしまった
いやよく考えてみるとそれどころではないような所もあったけど
今日はただでさえ目まぐるしかったし
どうしたものかと考えていると
手の甲がほんのり暖かくなっている
ちゃんの手が重なっていた
(え………ちゃん…?)
咄嗟のことでどうしたらいいかわからない
それにさっきみたいなことをされて触れられるのは嫌だと思っていたから
モヤモヤとしている
自分でも決めたこととはいえ俺は
どうしてと言おうとした所覚悟でも決まったような顔で話をはじめたのだ