第19章 吐露Ⅴ
[梶蓮Side]
突然顔に触れたのか驚いていたようでそのおかげというべきなのか涙が止まり始めていた
俺自身も気づいたらいつの間にか手を伸ばしていた
だが後悔はしてない
むしろ止めることができて安心していた
まただがこいつはすぐ謝ろうとする
何も悪いことをしているわけではないのに
謝るなと言ったら怖がっていたようだった
俺は口が悪いそれは認める
だがこいつにだけでは誤解されたくない
その思いが強かった
怖がらせてしまいどうしたらいいと悩んでいたが
その一言を聞いて何を思ったのか分からないが顔が瞬時に切り替わり
ありがとうと
他人に褒められるのは慣れないがこいつに言われると熱くなって仕方ない
なんで
その疑問の答えが頭で見つかりそうになる前にばあさんが間にいつの間にか潜んでいた
まさかいるなんて思わずフリーズしてしまっていたが
居るに居た堪れなくなり帰ろうとするとどうやらこいつはお礼をしたかったらしい
だから追ってきたんだと納得したが
お礼だなんて何もしてほしいことなんて浮かばない
こじつけかもしれないが
また会いに来るから考えておけとそう言うと
嬉しかったのかニコニコしてはいと返事をしてくれて
表情がコロコロと変わって見ていて飽きないが柊さんのことも気になる
とりあえず戻ることにしてその場を後にした
俺はまた家に来なくちゃいけなくなったが
仕方ないと呆れている風ではあるものの自然と口角が上がっていた