第18章 動揺
恥ずかしくて一人で悶えていると
[俺はもう帰る]
[えっ…!]
[あらあらもう帰っちゃうの?]
[お礼をしたいんですが…!]
そのために走ってきたのにこれでは水の泡だ
なんとか引き止めなくては
[で…でも…!!]
[別にいい]
[いや…!させてください…!]
梶さんの服の袖をつかみながら必死の瞳で訴えた
そうしないと絶対逃げられると思ったから
驚いたのか猫のように目を見開いている
観念したのかため息をつきながら
[また来るからそん時考えろ]
[いいな]
[は…はい…!]
本当は面倒くさかったかもしれない
けれどここまで助けてくれたのだ
見ず知らずの私を
せめて何かしたいその思いでひしめいていて
拒否されたらどうしようかと不安だったけどほっとした
[ありがとうございました…!!]
[また来てねぇ梶ちゃん]
おばあちゃんに手を振られてるのが恥ずかしかったのか何も言わずそっぽむいて帰ってしまったけど
あの背中が暖かいことを知っているからか
不思議と微笑ましかった