第3章 瓶ラムネ
あの中学生の子がちょこちょこだがうちの銭湯に顔を出すようになった
じいちゃんがついていないときもあったり、一人で来るときも多い
お得意さんが増えるのは嬉しいけど今どきの若い子にしてはとても珍しいとは思ったけれどあの時を境に話すこともなくなった
お客様なので挨拶はするけども顔は伏せってしまってるし表情が全くと言っていいほど読めない
(私の顔嫌なのかな……)
多感な時期でもあるかもしれないがそんなに嫌と言うことなのだろうか
不安になりおばあちゃんと藤川さんに言ってみたら
[あらあら何を言うのよ〜可愛いい顔だもの]
[自信を持ちなよ!ちゃん!大丈夫だよぉ!]
[あの子照れ屋なんだとおもうわ。うふふ♪]
(え…ええ………)
なんていう始末
藤川さんおばあちゃんも慰めにもなってない
どうしてか柄にもなく気持ちが沈んでいた
(なんで)
わたしあの子のこと気になってんだろ
(人見知りのはずなのにな…)
私自身も気持ちがよくわからないままお手伝いをしたり勉強したりして気を紛らわすしかなかった
じゃないと何も手につかなくて
彼と話す機会はすぐ訪れることになるとは知らないまま日々を過ごしていた