All is Dream Box【春パワー全開】*短編集
第12章 mumu/募る寂しさ
♪~♪~♪~……
着信を知らせる音が鳴り響く。もしかして……
期待に胸を膨らませ、携帯を手に取った。
「もし、もし……」
「もしもーし。元気か?」
「……何だ。三井先輩、何か用ですか?」
「"何だ"とは、何だよ……。流川が居なくなって、元気がねぇって聞いたから、電話してやったのに」
……三井先輩。
「………ありがとうございます」
「まさか、お前に礼を言われるとはな。……今、時間あるか?」
「え、今!? もう夜遅いですよ?」
「少しだけ。ちと出てこいよ。待ってる」
カーテンの隙間から下を見ると、バイクに跨(また)がった三井先輩がいた。部屋着のまま、外へ向かう。
「よっ。……ほら、行くぞ」
「……行くって……バイクで、ですか?」
「あぁ。乗れよ」
投げ渡されたヘルメットを被り、彼の後ろに跨がる。……まったく、私が行けないって言ったら、どうしたんだろう?
「しっかり俺に掴まれよ?」
「安全運転してくださいね」
「はいはい」
バイクのエンジンをかけ、暗い夜道をヘッドライトを頼りに走っていく。