All is Dream Box【春パワー全開】*短編集
第11章 mumu/別れの時
桜の木が蕾から花へと変わっていく頃。彼に呼び出され、私はまだ風が冷たい屋上に居た。
「悪い。待たせた」
「大丈夫だよ。そんな待ってないから」
話の内容は検討がつく。今、学校内はその話で持ちきりだから。
"流川、アメリカに行くんだって"
"アイツ、バスケ上手いもんな!"
そう、彼はアメリカに行くのだ。
「……行く事にした、アメリカ」
「うん。……頑張ってね」
二人の間を沈黙が流れていく。……言いたい事はある。でも、言えない。
「……しばらく会えない」
「そうだね」
いつもなら、「アメリカと日本だよ!? 頻繁に会えると思う?」って突っ込むとこだけど……。そんな余裕ない。顔を上げて、彼を見たら……困らせるような事しか言えないもん。
「お前らしくねぇ」
「……うっさい! 流川のバーカ!!」
口は強気だけど、内心は寂しさで埋もれてる。それを悟られたくなくて、見てるのは足元ばっか。そんな私の頭を、流川はポンと叩いた。
「どあほう。………行って来る」
「……すぐ帰って来ないでよ! ……流川なら大丈夫だと思うけど……」