All is Dream Box【春パワー全開】*短編集
第6章 さな/【テニプリ】2章 お花見開始!
「ん?不二、撮ったの、見せて見せて〜。」
菊さんがカメラを覗き込む。
「へぇ〜良い感じに撮れてんじゃん!んじゃあ、俺も!撮ろう!」
そう言うなり自分のスマホを取り出して、肩を抱いてきた菊さん。
「ちょっと…!近いよ!」
「気にしない気にしない、ハイ、チーズ!」
撮った瞬間、何やらタップを続ける菊さん。
覗き込むとTwitterに投稿していた。
「わざわざそんなことしなくていいから〜!」
「へへ〜ん、他校の奴らに自慢するんだよ〜。」
何の自慢だよとツッコミを入れたくなったけど、何だか恥ずかしくなってしまった。
「あの。」
菊さんのスマホを取り上げてやろうと二人で取っ組み合いをしていると越前君に呼ばれた。
「どうしたの?」
「和菓子とお茶、俺も欲しいっス。」
「あ、ごめんね。すぐに用意するね。」
「だーかーら!何に懐いちゃってんのさ!」
確か越前君って帰国子女だったよね?
和菓子と緑茶平気なのかな。
「あんことか大丈夫?緑茶も結構苦いよ?」
「平気っス。和食好きなんで。」
「おチビのクセに生意気ー!」
お茶を注ぐ隣で愚痴をこぼす菊さん。
もーさっきから一つ一つ突っかかるんだから。
「ちょっと手塚ー!部長ならハッキリ言ってやってよ!マネージャーに近づくなって!」
「菊さん、何言ってんの。」
「……。」
勿論、部長は返事をするはずもなく。
菊さんも手塚君が何も言わないこと分かってるんだから、話振らなくてもいいのに。
「まぁいいじゃない、エージ。入ったばかりで不安だからマネージャーに頼るのも分かるからね…けど、あんまりしつこいようだと、分かってるよね。」
すぅっと開眼された瞳。
あれ?私が怒られてるわけでもないのに、何で寒気がするのだろう。一瞬、空気が凍りついた。