All is Dream Box【春パワー全開】*短編集
第5章 さな/【テニスの王子様】桜色ブルーム:一章 提案
春。
青春学園高等部の校舎にも桜が満開に咲き誇っていた。
なかなかの景色なので、放課後に友達とゆっくりお花見でも…なんて出来るわけもなく。
もちろん、部活があるわけで。
特にこの季節は新入部員の世話や校内ランキング戦に向けての準備等で結構忙しいのだ。
「(今年もまぁある程度人数は集まってるみたいだな)」
新入部員のリストにさっと目を通す。経験者もいるようで、安泰かな。
ある日。
部長、副部長と共に校内ランキング戦の打ち合わせをしている時だった。
組み合わせなどを話し合っていたけれど、途中からは窓の外…つまりテニスコートに集中してしまっていて。
原因は、そう。帽子を被った一年生…名前は越前リョーマ君。
荒井君がちょっかいをかけたみたいだけど、逆にコテンパンにやってしまったみたいで。
「…荒井君には悪いけど、素晴らしいテニスセンスだね、彼。」
「ああ、面白い奴が入ってきてくれたな。」
副部長と共に越前君を評価する。
レギュラー陣も集まっていて、彼に注目しているようだ。
けど、我らが部長は相変わらずランキング戦の組み合わせとにらめっこ。
「手塚はどう思う?」
「……全員走らせておけ。」
副部長の問いに対しての一言。
会話が噛み合ってないけど。
そう言うなり出て行ってしまった部長。
置いていった組み合わせ表を見て副部長と笑みを交わす。
「なんだかんだ言って手塚君も注目してるんだね。」
「ああ、一番楽しみにしてるのかもな。」
「顔には絶対出さないけどね。」
組み合わせ表の名前にはきちんと彼…越前リョーマの名前が記されていた。