【R18】カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く【禪院直哉】
第2章 『私』のトリカゴ
直哉は…そう言いながら、
私の事を嬉しそうな顔をしながら
下から見上げて来て。
スッと…その手を…
直哉が下から伸ばして来ると
その…大きな手の平で
私の頬に…触れて来る。
『…こんな…べっぴんさんの…
可愛いらしい顔しとって、
顔だけじゃのーてええ乳しとって。
それも…おまけに…処女で…
男知らん身体…やもんなぁ…。
これで…呪力あったら…なぁ、
俺のお嫁さんにでも…したんのに…』
禪院家は…代々…多くの
呪術師を…輩出して来た家柄。
昔から…呪力が……、
その純粋な血統より…も…
重視…されて来た…家…だ。
生まれながらに…呪力を持たない
半端者の私には…、その価値がない。
その…言葉が…彼の口から出るのは
当然の…事…だった…。
『アンタの…親も…、禪院家が
どないな家なんか…知っとって…
なぁ~んの呪力のじゅの字も
持たへん…自分を…禪院家になんて
送り出したんやで?それが…
どないな意味か位……なんぼ
ヘボな…呪術師しか出してない
3流の…家でも…分かっとるやろ?』
…突きつけられた…現実に
何も…私は…言葉を返せなかった。
「…………」
何も…反論のしようもなくて、
黙り込んでしまった私の唇に
ツンと…直哉の指先が触れて来る。
『でもや…自分のパパとママは、
案外…賢い…かも知れへんなぁ…。
確かに…禪院家…には…、
呪力のあらへん自分は用なしや。
けど…アンタのその顔と身体…には
その借金の額には…足元にも
及ばん程度…とは言え、十分…
…価値が…あるって言う…話しや…』
呪力の無い…自分に、
価値らしい価値があるとするなら。
求められている…モノは…
…私にだって…理解は出来ている。
禪院家の…人達に…
使える物は…全部使って…
尽くしなさいと…言った…。
自分の…母親の言葉の意味……。