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【R18】カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く【禪院直哉】

第10章 カゴノトリの生活



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4月10日

『私』が直哉様のお屋敷に来てから
今日で1ヶ月目になった。

私の生活はと…言うと、
あの日から変わった事もあれば
このお屋敷に来た日から変わらない事もある。

『ほんなら…ちゃん、
俺…今から、ちょっと
仕事しぃに行って来るわ』

「はい…直哉様、
お気をつけて行ってらっしゃいませ」

『なぁ、自分それ…
一緒にあっこ連れて行くん?』

が持っているのは
京都水族館で直哉に買って貰った
あのオオサンショウウオのぬいぐるみだ。

「直哉様のお留守の間は、
この子が直哉様の代わりですので」

『……アホ…言いなや……、
こんなもんに俺の代わりが務まるかいな』

今日は…直哉様はお仕事がある日なので、
私は…あの…貯蔵庫の中の
座敷牢で過ごす日になっている。

地下貯蔵庫の入口の閂を直哉が外して、
一緒に地下へと続く階段を降りて行く。

『いやや無いんかいな?
こないなとこ、陰気臭いないん?』

一年中を通して気温と湿度が
一定に保たれている空間は
ある意味外気温に左右されずに
環境としては快適ですらある。

「あれも…用意して頂きましたし…、
ここに居る間も…退屈しませんから」

大嶋先生と会食した、
鴨川沿いのあの料亭で
前に5月から川床の納涼床が
始まるとは聞いては居たのだが。

あのお店の川床を貸し切りにして、
直哉様が主催する接待の場を
5月下旬に…する事が決定して。

直哉様の…ご実家の禪院家の
お得意様を…8名ほど…
ご招待をしてお座敷遊びをするらしく。

私がお茶や、お花だけでなくて
お琴もお免状を持っていると伝えたら。

すぐにお琴が弾ける道具を一式
(それも…かなり上等な物を)
用意して頂けたので。
そのお座敷遊びの中で
舞妓さんや芸妓さんが京舞を
ご披露する時に地方さんと一緒に
演奏を…する事になっていて。
今は…その曲を練習している。

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