【R18】カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く【禪院直哉】
第8章 湯の花温泉
『それ…あっちで流して来…いや。
すぐに風呂入るけど…匂いするやろ?』
あっちと直哉が顎で
和室の入口の方をしゃくって来て。
そのままゴロンと…畳の上に
寝転んでゴロゴロとし始めた。
「わかりました…
あちらで身体を流して参ります」
ゴロゴロとしている直哉に
が頭をさげて。
和室から廊下に出ると…
こちら側に洗面所やおトイレ
そしてバスルームの水回りが
纏めて配置されている様だった。
「凄い…大きいし…綺麗…」
大理石で出来たダブルボールの
洗面所は…1つ1つの洗面台が
かなり離れて設置してあって。
一緒に並んで洗面をしても
跳ねた水も掛からない距離だ。
横幅がかなり…長いし…、
その長い洗面台の長さの
大きな鏡が正面にあって。
洗面所の下の作り付けの棚には
バスタオル類が纏めて置いてある。
バスルームには…お屋敷に
比べたらこじんまりしてるが
ヒノキ風呂の浴槽がしつらえてあった。
『……なんや…まだ…
シャワー浴びてへんだんかいな』
そう後ろから声が聞こえて来て
が振り返ると
全裸の直哉がそこに立っていて。
「いえ…洗面所が凄い
広くて綺麗だなって…見ていたら……」
『ああ、ええやん。
こっちの部屋…泊まるん
俺…初めてねんけど…。
こっちは内風呂…ヒノキなんやなぁ…』
直哉様の言葉に違和感があった
彼がいつも利用する部屋は
この部屋では無いと言う事だ。
「え?」
『いや…、な…何でもあらへんで?
今…俺が言うたことは忘れとき。
ほら、全部…脱いで中入んで?』
いつも…涼しい顔をしているが、
珍しく…慌てた様子だったんだけど。
何に…そんなに…慌てる事が
あるのだろうかと…思いつつ。
一緒にそのままお風呂場に入ると
軽くだけシャワーで身体を流して
気になる部分を備え付けの
ボディソープで洗い流した。