第19章 能ある烏は翼を隠す
月島 side
いよいよ球技大会まであと2日。
体育の授業では自分の担当種目を練習代わりにやることになっていた。バスケとバレーは体育館をハーフに分けて行っている。話を聞けば影山もバスケになったらしい、同じく身長が理由で。
「キミさ、バスケでもコート上の王様になるわけ?」
「なるわけねえだろ!いつまで呼ぶんだボゲ月島!」
「バスケットボールでトス上げちゃうのは職業病なんじゃないの?」
「パスをレシーブしちゃうところもね!」
「…っせえな、クセなんだよ!」
「影山くんってバスケも出来るんだね、上手!」
割りと背が高めの女子が影山の隣にやってきた。思い返してみれば、この女子は事ある毎に影山に話しかけている気がする。
「……いや、下手す」
「ううん!いっぱいシュート決まってたじゃん、トスと同じ感じなの?」
「…どうすかね」
「3組、優勝できるようにがんばろ!」
「……ッス」
女子が走り去って、僕は思わず山口と顔を見合せて吹き出す。