第2章 **02
「先程エグゼリアから報告を飛ばしてもらってね、目が覚めた君の様子が気になって、いても立っても居られずに来てしまったよ。良かった、無事に目を覚ましたみたいで」
艷めく星色の銀髪の髪、空に雪を溶かしたような澄んだ水色の瞳を細めて優雅に微笑みのは、公爵家嫡男、私(悪役令嬢)の婚約者であるクラウィス・フォルトゥーナである。
馬車では無く、まさかの馬に乗って飛んで来たと聞いた時はまだ湯浴み中だった事もあり、クラウィス様を待たせてしまったのは申し訳が無かった。
「ありがとうございます。ただ、···申し訳ありません。こうしてお見舞いに来てくださったと言うのに、お待たせしてしまって」
メイドが用意した紅茶や茶菓子が並らべられたテーブルの向こう側で、クラウィス様が穏やかな笑みを浮かべて私を見ているものだから、イケメン過ぎて心臓に悪い。
私と言えば、メイドにより湯浴みの後で淡いグリーンのドレスに着替えさせられ、髪もハーフアップに毛先を緩く巻いてもらって、軽めのドレスアップをしてもらっていた。
いくらゲームの中の世界とは言え、今は現実で世の令嬢達は大変だなぁ、と他人事のように思っていた。
「何、私が急いで来たんだ。気にする事では無いさ···。本当に、どこも体に異常はないのかい?」
「はい。これも早急に手当して頂いたクラウィス様のおかげだと、兄様も感謝しておりましたわ」
「そうか···。ならば、お礼をもらっておこうかな」
「お礼?」
会い向きの席からスッとクラウィス様が立ち上がり、私の元へと長い足であっという間に距離を詰めた。