第5章 **05
あまりにも突然の攻略対象者とこんな風に出会うなんて思ってもいなかったけれど。
「·····鍵、閉めておくべきだったなぁー」
オレインの出ていったドアを見ていれば、不意に声がして下に視線をやればクラウィス様が起きていた。
「クラウィス様、起こしてしまいましたか···」
「いや、少しだけどだいぶスッキリしたよ」
でも、膝から起き上がる気配が一向に無い。
「それは良かったです」
「もう少し、このままでもいいかな?」
「はい、どうぞ!?」
私の返事と同時に腰に回された腕、お腹にはクラウィス様が顔を埋められていて私の頭はパニック寸前。
「な、何を!?」
まだ夢の中なのか寝惚けていらっしゃるのか、私はただただ身を固くするだけだった。
「こうしたかっただけと言う名のマーキング。リーチェは私の婚約者だと言うのを、改めて皆に知らせておかないと、···色んな意味で」
「···ひぇ」
独占欲丸出しのクラウィス様に、小さく悲鳴が漏れたのは言うまでも無い。