第5章 **05
そう、今も現在進行形で問題が一つ。
「まさかリーチェに膝枕をしてもらえる日が来るなんて、思ってもみなかったよ」
学園内、生徒会室にて。
私は何故かクラウィス様の膝枕をしている。
事の発端は今朝の約束通りにクラウィス様が学園内を案内してくれていたのだけれど、些細なクラウィス様の変化に気がついた私が声をかけた事により膝枕をする事になってしまった。
今朝は調子が良さそうな感じだったのに、顔色が優れない。いや、ちょっと青白いようにも見えたのだ。
「·····クラウィス様、ちょっとごめんなさい」
私が咄嗟にとった行動と言えば、一言謝罪してからクラウィス様の額に手を当てて熱を測った事だった。
「···熱は無いようですが。具合が悪いようでしたら保健室へ行きましょう。ご無理はいけません」
突然の出来事に目を丸くするクラウィス様の頬が、じわじわと赤くなって来ていた。
もしかしたら自覚した瞬間に熱が上がってしまったのかもしれない。申し訳ない事をしてしまったと、申し訳無さを覚えつつもここは体を休ませなければ、とクラウィス様の手を握って進もうとしたけれど、動かない。
「クラウィス様、保健室へ行きましょう。それともお嫌なのですか?」
「いや、行くならこっち」
「クラウィス様?」
ぎゅっと手を握り返されたと思いきや、そっと手を引かれるままに来たのは生徒会室の前だった。