第2章 【呪術】思い出は薄氷の上に
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生温かくて、重苦しい暗闇―……
ここはどこ?
私、なんでこんなところに……
重くて、重くて、身動きできない。
息もできない……
ああ……
誰か、
助けて―……
どこにも届かない声にならないか細い心の声、
だがその時、何かに押し潰されている感覚が確かに和らいだ気がした。
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深く沈んでいた意識が少しずつ浮上する。
目を閉じていても分かる程、外が明るい。
「……ぅ、……?」
「あ、起きた!」
重たい瞼を上げると、小学生くらいの少女が2人。
明るい茶髪の子としっとりとした黒髪の子は顔立ちがよく似ているが、どちらも見覚えのない知らない子だ。
私を看病してくれていたのかな……?
だとしたら、お礼を言わないと。
そう思って口を開こうとしたら、茶髪の子が勢いよく走り出し、部屋を飛び出していってしまった。
その直後に「げとうさまーっ!」と大きな声が聞こえてくる。
誰かを呼びに行ったらしい。
残った黒髪の子に目を向けると抱いていたぬいぐるみをギュッと握り締め、やや警戒した顔をしている。
こっちの子は人見知りかな、
今は声を掛けない方がいいかもしれない。
お礼を言うのはさっきの茶髪の子が誰かを連れて戻ってきた時にしよう。