第1章 【鬼滅】霞屋敷のふろふき大根には柚子の皮が乗っている
「奈緒、君に新しい柱の世話係をして欲しいんだ」
突然産屋敷に呼ばれて頭を下げたまま固まった。
優しくゆっくりと喋る産屋敷の言葉に、奈緒ゆっくりと顔を上げた。
「はい、誠心誠意努めさせて貰います」
産屋敷にかけられた言葉に、嬉しさを噛み締めて、奈緒は更に深く頭を下げた。
一年前に奈緒の村に鬼が現れた。
その惨状と言ったら、今思い出しても体が震えるほどだった。
その時に亡くなった両親。
助けてくれた赤とオレンジ色の炎を纏った鬼殺隊士の後姿。
奈緒は自分の親の亡骸を抱きながら、その柱の背中を涙を流しながらジッと見ていた。
壊滅した村を救ってくれた柱を中心とした鬼滅隊士。
柱を中心に、生き残った村人達を鬼滅隊が手厚く救助してくれた。
「…遅くなってすまなかった」
そう言って自分の両親を抱き締めて泣いている奈緒に、炎柱の煉獄杏寿郎は顔を歪めて、自身も辛そうな顔で奈緒に向けて言った。