• テキストサイズ

合同リレー作品集【鬼滅・呪術・ヒロアカ・WB】

第4章 6つのお題から自由に選択



一閃。七瀬の胸を深く切り裂いて月下に赤が散る。


「あ……」


月明かりだけの宵闇の中でも見えるほど、おびただしい血が飛び散った。


「俺の言葉一つで心が揺らぐようじゃあ、頚なんて未来永劫斬れないでしょ」


嘲弄(ちょうろう)ではない。

鬼の本質が垣間見える、事実を突きつける抑揚のない声。

心臓を僅かに逸れたが、肋骨ごと肺を斬られた。

彼女がそう悟った時には、膝が折れ、刀の切っ先が地に触れる。

痛みは感じない。脈打つように強烈な熱さが広がった後に、血で気道が塞がる苦しみ。

致命傷だと察する。


「君が鬼狩りじゃなければ、傍に置いたのになぁ」


童磨は七瀬を見下ろしながら、まるで花を愛でるような優しい口調でそう言った。

七瀬は吐血しながらも、最後の力を振り絞って刀を握り直そうとした。

しかし、腕の神経ごと切断されたのか、もはや指の感覚さえない。


「苦しいよね?ほら、もう無理しないで」


童磨は彼女の前に膝をついた。

上辺だけの憐れみの感情が宿っている表情に、この男はどこまでいっても人ではないことを実感させる。


「安心しておくれ。俺が君を救ってあげる。俺の血肉となって、共に永遠に生き続けるんだ」

「……この、外道……ッ、お断りだ……」


彼女は鬼殺隊としての矜持から、精一杯の蔑みの言葉を最期に絞り出した。


「遠慮しないで。君のような気高い魂は、この汚れた世界にいるべきじゃない。俺の中でなら、永遠に純粋なままでいられる」


鋭い爪をもつ鬼の手が七瀬の頬に触れた。

氷のように冷たい指先だった。



/ 165ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp