第3章 お題小説 Lemon
俺の世界には誰もいない。
両親も友人さえも…
俺に向けられるのは常に敵意や悪意だけ
気持ち悪い
近づくな
触るな
喧嘩っ早い野蛮人
俺の事を知りもしないで周りの奴は外見や容姿を見て汚い言葉を吐く。この容姿で興味本位で何度も喧嘩を売られた。
だから俺は誰よりも強くなった。
そんな奴らに俺を認めさせたくて…
力で…相手に勝つことで俺自身の価値を見せつけてきた。
でも、たった1人…
俺を怖がらない女がいた。
中学の時、いつものように髪の容姿のことで俺の事を馬鹿にした不良グループと喧嘩していた時の事だ。
相手の人数は10人。
人数は多くても弱くて話にならなかった。
ほとんど無傷だったが足をナイフで切り付けられ血が滲んでいる。
掠った程度の傷で軽傷だったがその場に俺は蹲った。
「……あの…大丈夫…?」
「………」
「よかったら、コレ使って…?」
「いらねえ。気安く話かけんな。どっか行け。」
知らない女が初対面にも関わらず俺に話しかけてきた。
白いハンカチをいきなり差し出され、俺はギロっとその女を睨みつける。
でも、その女の返答は俺が想像したものとは違うものだった。