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あの方々の守護霊は3[dzl]

第14章 神社の秘密


 企画の話は順調に進み、難なく定時に帰宅した私は、また一人暮らしの家に勝手に誰かがいることを確認した。
「ちょっと、白蛇さん……! ってきゃあ?!」
 私らしくない悲鳴を出してしまった。だって脱衣所から、いきなり半裸の男性が出てきたものだから。
「初々しいのう、ただの幽霊じゃ」
 なんて笑いながら半裸の白蛇さんは、着物を肩に背負いながら我が物顔でソファへ座り込む。私は着替えるのも忘れてすぐに問い詰めた。
「今度は勝手にご入浴ですか」
「うむ、借りたぞ」
 悪びれる様子なく白蛇さんはにこやかにそう言う。私はもう何言っても諦めるしかないのだと悟り、今着替えてきますからと一旦寝室に行って戻って来ると、白蛇さんはすでにいつもの和服を纏っていて勝手に点けたテレビ番組を楽しんでいた。
「それで、今度は何のご用で?」
 幽霊とはいえ、視える私にとっては一人勝手に家に上がり込んでいるようなもの。早く追い出したい気持ちもあって、私はやや冷ややかな口調で問い詰めた。
 一方の白蛇さんはそんな様子を楽しむかのようにニヤリと笑って、ゆっくりと話し出した。
「そうツンケンするな。ただ礼に来ただけなのだから」
「礼に……?」
 と顔を上げた私の目の前で、白蛇さんは紐を通した白い勾玉を見せた。その一切濁りのないような真っ白な勾玉は、私があの謎めいた神社で買ってきたものと同じだとすぐに分かった。
「それは……」
「あそこはな、蛇白神社という場所じゃ」と白蛇さんは語り始める。「ワシに白蛇としての力を与えた場所だな。ワシはあそこで、白蛇化したのだ」
 私は興味が湧いて、白蛇さんの目を見た。人ならざる瞳がギョロリと私を見つめ返してきたが、不思議と怖さはなかった。
「ワシは代々、大原一家の守護霊として憑いていたという話はしたよな? そんなある日、神がワシの献身的な行動に褒美を与えてくれたのだろう。それが、ワシが偶然の幸運を生み出す守護霊になったきっかけだ」
「じゃあ神社にいた人が、神様……?」
 私は自分で言葉にしたことすら疑いながら問うように呟いた。白蛇さんは目を見開いた。
「おお、神社に人がおったのか。オヌシは本当に幸運だったな」と白蛇さんは話続ける。「まぁ、神社というものは、我ら人間が大昔に、神様の目印として勝手に作ったものよ。その場所に神様が来るとは限らない。まぁ物好きな神様もおるかもだが……」
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