第2章 バレーボール
馬鹿な私は舞さんの忠告を忘れ、鍵をかけずに更衣を始めた。要くんに借りた体操服達を保健室のベッドの上に並べて、私は重要なことに気がついた。持ってきていたのは、ハーフパンツに半袖の体操服。
(え!? ジャージが無い。うそ、こんな大事な日に忘れることある? 絶対家に置いてきちゃったよ。しかもこれだけじゃ絶対ブラ透けちゃう。 運動すると思ってキャミ脱いできちゃったし)
絶望しながらも、とりあえず持ってきたものを着てみる。保健室の鏡でチェックすると、水色のブラが見事に透けていた。
(どーしよ、練習試合って言ってたから舞さんは戻ってこないし、要くんもスマホなんて絶対見ない
でも、この部屋からも出れないし。早速迷惑かけちゃってるよ。)
絶望していると、突然保健室の戸が開けられた。
入ってきたのは男バレの人で、バレー部の中でも背が高く、茶髪の目がくりくりな男の人だった。
初めて見た時、モテそうな人だなって漠然と思った。
「!!?? 、、、っ//」
ジャージも忘れたし、鍵もかけ忘れたし、オマケにブラも透けているこの状態にパニックになった私は半泣きになりながら、さっと彼に背を向けしゃがみこんだ。
? 「なあ、何してんの凛ちゃん?
体育館戻んないの?」
(ブラが透けて体育館戻れないなんて死んでも言えない)
「えっと、ジャージ忘れてちょっと戻れる状態じゃなくて、借りようにも皆さん練習試合中だし、邪魔しちゃ悪いなって思ってたところです。」
?「あー、そんなら俺の貸してやるよ。ほれ」
ってジャージを肩にかけてくれる。
(透けてるブラの事には気づかれていませんように)
「あ、ありがとうございます。早速迷惑かけちゃってすみません。あの、どうして保健室に??」
?「俺は練習試合で突き指してここに来たんだけどさー、鎌先って先輩が大人気なくって強引にスパイク決めてきてさ、指先にボール当ててきたんよ。酷いと思わね?もっと後輩を思いやるべきだよなー。」
って文句を言いながら、保健室の椅子に座ってくるくる回る彼は少し子供っぽい。急いで借りたジャージに着替えると、要くん以外の男の人の匂いに少しドキドキした。要くんのジャージより遥かにでかいそのジャージはハーフパンツが隠れるほどブカブカだった。
「あの、私で良かったら、テーピング巻きましょうか?ジャージのお礼も兼ねて」
