第11章 実験。
「よし、着いたよ。よく大人しく待ってたね。普通なら暴れたり反抗的な態度をとるんだけど……。」
それはあんたの部下が怖いと言ったからですヨ。
と言いたかったが喉まできたとこで言葉を飲み込んだ。
「それは……どうしてでしょうね。」
と言っておいた。
なんだそりゃと上の部屋から言う。
マイクで言っていて声はじゅうぶん聞こえる。
「まあ大人しくされたほうがこっちも都合がいいけど。」
と言いながら何かのスイッチを押しているようだった。
30秒経つと下から土が出てきた。
「な、なにこれ……。」
土が敷き詰められてて歩きづらい。
下から
「“control it with soil”」
と声がした。
「え……。」
下を見たが特に代わりはなかった。
が、その瞬間、足元が抑えられる。
「ああああ゛あああ!!」
足が……っ!地面に入っていく…!
さっきまで普通の床だったのにっ!
どんどん沈み込められて、とうとう土が鼻まできた。
「っ!!〜〜っ!!!」
もう駄目だ。苦しい。土が口の中に入ってくる。
と思った。が、一気に地上へ出される。
「ぷはっっ……ぺっぺっ…。」
口の中に入った土を出す。息を切らしながら顔を上げるとそこには人が立っていた。
「………ちょろい。……お前は目の…能力は……ない、な。」
と片言で喋っている。図体がでかい。
目はボーッとしていて、魂が抜けてるみたいだ。
おそらく、さっきの土を操ってた人物だろう。
と、上から
「やあ、お疲れ様。見事に目の能力はないみたいだねぇ……。」
半分呆れたように言われた。
「あのー……この人は…誰ですか?」
と聞くと班長が言う前にさっきの奴が
「……第1班……調査実行係……雨之川二月………。」
片言ながらも答える。
「名前、覚えてあげてね。じゃあ次の実験やろうか。」