第7章 練習試合!
8:50
烏野総合運動公園 球技場に到着する。
もう向こうの人たちも揃ってるみたい。
「集合!」
大地さんの声に部員たちが整列する。
「挨拶!」
「「「お願いしアす!!!」」」
あたしたちマネージャーは後ろで荷物の確認をしつつ、後からバスを降りる。
挨拶早々、何やら龍先輩が音駒のモヒカン頭の人とやり合っている。
仲裁に入る孝史先輩と音駒の小さい男の人に注意されしゅんとする2人。
ずいぶん似たタイプがいるもんだなぁ。
「!?はぅあっ」
「!!?」
次の瞬間こちらを見たモヒカンの人が変な声を出して固まっていた。
「?」ペコ
『よろしくお願いしゃす!』
「女・・・マネっ・・・美っ・・・うぉ。ふ、ふたりもぉぉぉお!おぼえてろよォォォ!!!!」
変なリアクションをとったまま、走り去るモヒカンさん。
ああ。あれだ女子に免疫ないタイプの人か。
確かに免疫ない上に潔子さんの美貌を目の当たりにしたら無事ではなさそう。ドンマイ、モヒカンさん!
「やぁやぁ、永瀬ちゃーん」
『あ、黒尾さん。今日はよろしくお願いします』
黒尾さんが声をかけてきた。
精一杯の強がり笑顔で挨拶する。
「そんな警戒しなくても〜、とって食ったりしませんヨ」
『い、いやぁ。別に食われるとは思ってませんけど・・・』
「情報交換もできるし、連絡先の交換とかどーお?」
『は、ハイ、考えときマス』
この陽気なイメージと同時に感じ取れる胡散臭さ、何となく種類は違うけど及川さんを彷彿とさせるなぁ・・・。
「うちのマネージャーと知り合いですか?」
「ああ、烏野の部長さんですね?彼女とはたまたま会う機会がありまして・・・。今日はよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
何となくこの状況から助けてくれたような大地先輩。
でもこわい。
笑顔が怖いよこの2人・・・!!
『あ、あの!じゃあ準備がありますので!失礼します!!!』
「あ」
まだ何か言いたげな黒尾さんから逃げるため、この空気から逃れるため、あたしは言い訳をしてその場を去った。
「で?どのようなご関係で?」
「いえいえ、それはちょっと、ねぇ?」
「いやいや、"うちの"マネージャーがご迷惑かけてないかと心配で」
しばらく2人に近寄れない空気が発生してたとかしてないとか。