第5章 リベロとエース
『翔陽!』
「永瀬!何?」
『おでこ』
「?」
『まだちょっと腫れてるから、よく冷やすんだよ?はい、これ』
「冷てっ!」
そう言えばと、翔陽を呼び止め小さな保冷剤をハンカチで巻いたものをおでこに当てる。
冷やすだけでも腫れの引く速さはマシになる。
『ちゃんと押さえてられる?』
「!?!?あ、ちょ、永瀬??ち、ちか・・・』
保冷剤の冷たさに驚いていた翔陽の顔がみるみる赤くなっていく。
だってよく見ないと、傷の状態確認できないし・・・。
「自業自得なんだからほっときなよ」
「さっさと自分で冷やせ日向ボケェ!」
蛍と飛雄の野次?が飛んでくる。
「お、おおお、ありがとうな!」
少し動揺しながらも我に返り、保冷剤をちゃんと押さえてるのが確認できたので離れる。
『ん、もう顔面レシーブはしないようにね?』
ボンッ
少しおちょくるつもりで笑いかけると、翔陽は青城との練習試合前のように爆発した。
そんなプレッシャー与えるようなこと言ったかな?
「はいはい、もーいいでしょ。帰るよ永瀬」
『あ。うん。じゃあまた明日ね!』
リベロもエースも完全復活って感じだったし、これからある練習試合がますます楽しみになってきた!
相手の音駒高校って、どんなバレーをするチームなんだろう、とウキウキしていると、蛍に呆れられ、忠に苦笑いされながら帰路についた。
ーーーーーー日向の気持ちーーーーーーー
はぁ・・・。
美人なのに笑うとかわいいんだよなぁ、永瀬って。
最初は男と間違えちゃったけど、今は全然そんな事なくって。
今日の至近距離はヤバかった!何がヤバいのかはわかんないけど!
ーーーーーー月島の気持ちーーーーーーーー
ちょっと何あれ、チビに近すぎない?
マネージャーだからってそこまでする必要ある?
あー、イライラする。
ただの幼馴染に何でここまで感情振り回されなきゃいけないわけ?