第5章 リベロとエース
「今のお前は、」
「?」
「ただのちょっとジャンプ力があって素早いだけのヘタクソだ。大黒柱のエースになんかなれねえ」
「!」
「でも、俺が居ればお前は最強だ!」
飛雄は、これが伝えたかったんだ。
1人では敵わなくても、俺の力が合わさればブロックには捕まらない。
すごい自信過剰にも聞こえるけど、実際技術がある。
こうなるまでに、飛雄はどれだけ努力したんだろう。
ピーッ
ボールが上がり始める。
早速翔陽をマークする町内会チーム。
「躱せ!!!それ以外できることあんのかボゲェ!!!」
飛雄の怒号が飛んだ瞬間、翔陽が素早く動き始める。
町内会チームもすかさず翔陽を追い、ジャンプの姿勢をとるが・・・。
キュッ
翔陽はすかさずノーマークの場所身を翻し、飛雄のトスはその翔陽の手もとへ。
ドッ
「お前はエースじゃないけど!!そのスピードとバネと、俺のトスがあればどんなブロックとだって勝負できる!!!」
そう、エースじゃなくても、1点は1点。
実際翔陽の動きに翻弄されて、他のスパイカーが得点を取れる数も増えている。
チームにとって、とても重要なポジションにかわりはない。
龍先輩も、すかさずそうだそうだ!と同意してくれる。
「それでもお前は、今の自分の役割がカッコ悪いと思うのか!!!」
「思わない・・・」
「あ?」
「思わない!!!」
「よし!!!」
吹っ切れたような表情の翔陽を見て安心する。
何でいいチームなんだろう。
「試合中断さしてスミマセンでした!!」
「あ、うんっ、いやっ」
「試合の続き」
「「お願いします!!!」」
その後調子を取り戻したかのように思えた烏野チームだったが、町内会チームの安定感に押され続け、2セットとも町内会チームのものとなった。
町内会チームの人のジャンプフローターサーブを見てから忠の表情が少し変わったような気もするが、そのあとなし続けても特に違和感はなかったので、これも気のせいかな、なんて思ってみたり。
試合後、熱い名台詞みたいな事を叫んだ夕先輩と飛雄が町内会の人にいじられてたのは面白かった。
そして烏養さん曰く、今の烏野はとにかくレシーブができてないらしい。
青城との練習試合でも及川さんに言われた事だ。
合宿までの1週間、とにかくレシーブを磨いていくそう。