第5章 リベロとエース
翌日放課後
「永瀬!部活行こー!」
『うん、ちょっと待ってね、今行く!』
ガラッ
「永瀬!」
『あれ、忠?どしたの?蛍まで』
翔陽と部活へ向かうため荷物をまとめていると教室の扉が開き、現れたのは蛍と忠。
うちのクラスに用なんてあったのかな?
「迎えに来たよ!ツッキーが!」
「山口うるさい」
「ごめんツッキー」
『迎え?あ、ありがとう!今翔陽と行こうとしてたんだよね。みんなで行こうか』
この間から蛍と忠が過保護になってる気がする。
そんなに心配しなくても大丈夫なのに(笑)
教室を出ると、飛雄とも遭遇。
『あれ、飛雄も今から?』
「お、おう。・・・?今日1組でなんかあったのか?」
多分飛雄はこのメンバーに驚いてる。
そうだよね、自分以外の1年生バレー部が同じ教室から出てきてるんだもん。
『なんか分かんないけど集まった(笑』
「?そうか、俺先行くぞ」
『あ、うん。またあとでね』
「まて影山!俺が先に行く!!!」
「!オイ!俺が先だ!!!」
一緒に行こうと言っていたのに飛雄を見た瞬間闘争心むき出しの翔陽。
2人は競うように廊下を走っていってしまった。
「ほんと単細胞」
「確かに」
呆れ顔の蛍と笑いながら同意する忠。
1年の間でも温度差すごすぎて風邪ひきそう(笑)
部活前からバタバタしつつも、部室へ向かう。
着替えのため、蛍達と別れる。
準備を済ませて体育館に向かおうとすると、大きな人影が見えた。
『?こんにちは』
大きな背中に長い髪をお団子にしてる男の人がこちらを振り向く。
「!?あ、ああ。こんにちは・・・」
『バレー部に用事ですか?誰か呼びます?』
「い、いや!大丈夫!!・・・見てるだけだから」
「よっしゃー!対音駒戦も速攻決めるぞォーッ」
「!!」
体に対して声が小さいその人に話しかけると、体育館から翔陽の大きな声が聞こえてくる。
その声に反応する大きな人。
「GW合宿最終日に練習試合なんだ」
「ゲッ」
あたしの背後から現れた澤村先輩がそう告げると、その大きな人はあからさまに嫌そうな顔をして逃げ出そうとしていた。