第4章 練習試合
ギャーギャー騒がしい車内で翔陽と飛雄、龍先輩に質問攻めにされ、潔子さんにはめちゃくちゃ心配されほっぺをガサガサタオルで拭かれる始末。
ほっぺ痛いです潔子さん・・・。
少し落ち着いてから話を部活に戻して澤村先輩に聞いた話だと、烏野にもリベロがいるらしい。守護神と言われるほど天才的な人。
どんな人だろうと楽しみにしつつ、学校に戻り掃除を済ませて帰宅。
帰り道は忠といつもの道で別れて蛍と2人。
「なにボサッとしてんのさ。もうちょっと警戒しなよ」
『いやぁ、何なんだろうねあの人。謎』
「なんか思わせぶりなことしたんじゃないの?」
『するわけないじゃん。初遭遇でも普通に挨拶しただけだし』
「なんか言われなかったの?あんな知り合って数時間であそこまでされるっておかしすぎない?」
『あの人がおかしいんだよ多分。フランスとかの血でも入ってんじゃない?・・・あ』
「なに」
『美人だねって、』
「は」
帰り道改めて蛍に今日の事件を突っつかれている。
そうだ、試合の興奮と去り際のほっぺにキッス時間で初対面の時の記憶が薄れてたけど、何か顔面褒められたんだ。
『美人ってなに?言われたことない。こわい。あの人特殊な癖でもあるんかな・・・?』
「・・・・・・・」
そう呟くあたしを蛍がジトーっとした目で見つめる。
『な、何!?なんかついてる?あ、こいつの頭大丈夫かって?わかってるよ!でも言われた記憶あるもん!!!』
「はぁ・・・。自覚ないの?」
『はっ!?!?』
「中学で散々女子にチヤホヤされてたじゃん」
『いや、あれはあれでしょ?髪をバッサリ切ったあたしにみんな気を遣って・・・』
蛍が近い。
近すぎない?
「美人だよ」
『へっ』
唐突な言葉に情報が処理できない。
試合中頭あった?大丈夫そ?
あたしの知ってる蛍は基本的に人を褒めない。
「自覚ないならこれから自覚してちゃんと警戒して」
呆然としてるあたしの頬に手を添えて顔を近づける蛍。