第3章 黎明に溶ける ︎︎◆
12月7日。
五条くんのお誕生日当日。私たちは五条くんの部屋に四人で集まって、お誕生日パーティーを開催していた。11月の硝子ちゃんのお誕生日には、五条くんや夏油くんと三人で、ネックレスをプレゼントした。
そして五条くんには、苺がたくさんトッピングされている、とても大きなショートケーキを贈った。ホールケーキをフォークで刺してそのまま食べるのが夢だったという五条くんにも喜んでもらえて、サプライズは大成功に終わった。
それから暫く、みんなで桃鉄やマリカーなどのゲームをしてすごく盛り上がった。そしていつの間にか、時計の針は午後8時を指していた。カーテンをひらっと開けると夜空には星が輝いている。
「…それじゃあ、私はそろそろお暇しようかな。借りてたDVD返しに行かないと」
「私も一服してくる。あとは二人でごゆっくり〜」
そう言って夏油くんや硝子ちゃんは、五条くんの部屋から退出した。…二人とも、五条くんの喜ぶ顔が見れて嬉しそうだったなあ。
…五条くんの部屋で、五条くんと二人きりになった。今日は座学も体術の授業も無くて、高専には人が少なく、閑かに時間が流れていた。
五条くんとテレビを見たり、私が焼いてきたクッキーをつまんだり、いつものようにごろごろ過ごしていると、隣に座っていた五条くんとそっと手が重なった。
「……あの、さ…今日、いい……?」
手のひらから伝わる熱。言葉にするのがまだ恥ずかしくて、縦にこくりと頷くと五条くんの表情が甘く柔らかくなった。でも、緊張で少し手が震えていて、五条くんも私と同じ気持ちなんだと分かってすごく嬉しかった。
「……今日ね、かわいい下着、つけてきたの…っ」
先週のおやすみに、硝子ちゃんと歌姫先輩とショッピングに行って、かわいい下着を購入したばかりだった。…五条くんに見られるのだと思うと、とびっきりかわいいものがいいなと思って、普段は買わないようなフリルがたくさんあしらわれている水色の下着を選んだ。
「……ッ!!…そっか」
その瞬間、五条くんの腕の中にぎゅっと抱きしめられた。襟足から香る甘くて爽やかなシャンプーの匂いが鼻をくすぐると、お腹のあたりがずくんっとうずいた。
「…ゆっくり、するから。……痛かったり、怖かったりしたらすぐ教えて。絶対な」