第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
その時、マルフォイが勝ち誇った顔で急降下して行くのが見えた。
「スニッチだわ!」
「マルフォイのやつ!スニッチに近づいてやがる!頑張れハリー!そんな奴に手渡すな!!」
「マルフォイなんかに負けないでー!」
ハリーのファイアボルトは早い。
マルフォイが近づくハリーにブラッジャーを投げたけれど、箒の柄にピッタリくっついている彼には当たらなかった。
ハリーが両手を箒から離して、思いっきり身を乗り出す。
マルフォイの手を払い除けて、そして……。
「やった!」
ハリーの手には黄金に輝くスニッチがあった。
その瞬間、球技場は爆発するんじゃないかというぐらいの叫び声があがる。
ハリーは観衆の上を飛んで、スニッチを持った手を高々と上げていた。
「やったー!」
「最高だわ!!」
「ハリー!最高よー!!」
「グリフィンドールに優勝杯だ!!」
するとウッドが近寄ってきてハリーを抱きしめて泣いていた。
そしてフレッドとジョージも近寄り、ハリーをバシバシと叩く。
「優勝杯よ!わたしたちが優勝よ!」
グリフィンドール・チームが急降下しながら地面に降りると、応援団が柵を超えていきピッチに流れ込む。
ハリーも他の選手も肩車をされていて、そこにはハグリッドの姿もあった。
嬉しそうにしていて、マクゴナガル先生はウッド顔負けに号泣している。
私やロン、ハーマイオニーもピッチに降りてから人を掻き分けてハリーに近づく。
言葉が出なかったけれど、ハリーに微笑みかけた。
「言葉が出なかったや」
「それほど凄いことだったのよ」
「マルフォイの顔、見た?凄い悔しそうにしてるわ。ああ、スッキリする」
「ハリーのおかげね」
ハリーは肩車出スタンドに運ばれていく。
その先にはダンブルドアが居て、大きなクィディッチ優勝杯を手にしていた。
ウッドがしゃくりを上げながら、優勝杯をハリーに渡す。
ハリーはそれを天高く掲げてから、嬉しそうにしていた。
「グリフィンドールの優勝杯ね」