第2章 小豆娘
「あ!今草履代お渡ししますね!」
「いや、いい」
「え?」
キョトンと首を傾げる。
「今日の礼だ」
「でも、今日は私が誘ったのに」
「今日は楽しかった。が良ければだが…また一緒に、どうだろうか?」
いつもは質素に1人でとる食事。
腹を満たす為の作業だった。
だが今日は何か違った。
いつもと同じ作業なのに、ご飯が美味しいと思えた。
鬼殺に身を置いてから初めてかもしれない。
誰かと一緒にとる食事が、楽しいと思えたのは…
俺にとって、今日のこの時間はとても貴重な体験だった。
時々でいい、またこんな風に、誰かと楽しいと思える時間を過ごしてみたい。
そんな想いで、少し控え目に誘ってみると…
「はい!また行きましょうね」
からの快い返事。
それを聞いて、なぜだかとても嬉しくなった。
他愛もないただの約束をしただけなのに、不思議だ。
「冨岡さん他に用事ありますか?」
「…いや」
「じゃあ……、帰りましょうか」
は、少し考えてから返事をしながら立ち上がる。
少し名残惜しいと思いながらも、俺もそれに合わせて立ち上がった。
「今日はありがとうございました。良かったら今度甘味の方も食べに来てください。あ、でも甘い物は苦手でしたよね」
「甘過ぎなければ大丈夫だ」
「本当ですか⁈甘過ぎないのもあるのでまた今度来てください」
「分かった」
話をしながら帰り道を2人で歩く。
このまま帰ってしまうのは、なんだか少し勿体無い。
そんな風に思えるのは、今日が楽しかったからだろうか。
それとも、この娘といるのが楽しいと思っているからなのか…
気付かぬうちに、速度を落として歩いていた。
この時間を延ばすためだったのだろうか…
自分で自分に驚きながら、ふとある事を思い出す。
「うちの…お茶っ葉がなくなった」
「お茶っ葉…」
「今から一緒に「行きましょう!」
なんと。
食い気味にからの了解の返答を得た。