第2章 枢軸/逆ハー 夏の一番奪取祭り
「いや、それは違う。規律のとれた生活こそ一番なのは明白だ。よって俺に対する評価が一番だと言える」
「え~楽しいのが一番だよ! 話をまとめると、ちゃんはこの中の誰より俺といるのが楽しいってことだよね?」
「の発言によれば、“楽しくて規律のとれた”だから、楽しさにさらに規律という付加価値があると思われるんだが」
「ルートは規律一辺倒になりそうだよ……だってシエスタないでしょ? 俺はちゃんと楽しくランチしたりシエスタできるけどな」
「いいえフェリシアーノ君! 楽しさなら同じ文化や価値観を過ごしてきた私たちが一番です。この季節なら、お祭りに出かけて花火を見て、出店で林檎飴など食べながら『暑いね』と言い合ったり、風鈴を聞きながらスイカを食べて夏休み特別ロードショーのアニメ映画見て『目がああぁぁ!』ごっことかできますから!!」
「でもちゃんは落ち着けそうとしか言ってないよ」
うっ、と菊が言葉につまる。
その空白にルートが口を挟もうとして、
「だいたい――」
とフェリシアーノが遮り、
「恋人だよ?」
「……」
「……」
その一言と、彼の雰囲気に二人が黙り込んだ。
虎かライオンかを前にしたように、口をつぐんでいる。
蠱惑的なフェリシアーノの声が、ある種の自信に満ちていたからだ。
二人とはあまりに対照的に、ニコニコ笑みを振りまくフェリシアーノ。
私は寄ってきたぽちくんを抱いて、途方に暮れるしかなかった。
end