第2章 枢軸/逆ハー 夏の一番奪取祭り
「ちゃんは、この三人の中で付き合うなら誰がいい?」
「ぶっゲホッ! ガハッゲホッ!!」
フェリシアーノが唐突すぎる爆弾を放ったのは、のどかな昼下がりだった。
「い、いいい一体なんのおつもりで!?」
「言葉そのままの意味だよ~」
当然のごとくフェリシアーノが言う。
死ぬ思いで心を鎮め、私は宣告した。
「そ、そんなの選べないというか、そもそも選ぶ立場にないといいますか――」
「よくわかんないよ~じゃあ俺と付き合うのはいや?」
「へっ!? あ、その……特にいいとかいやとかは……」
「SiかNoで答えてほしいな」
「そ、So soで」
む~、とフェリシアーノがむくれる。
私は困り果てて、曖昧な笑みを浮かべた。
一体なぜ急にそんな話を……
見かねたのか、呆然としていたルートが我に返りたしなめる。
「あまりをからかうな」
同じくハッと意識を取り戻した菊が、遺憾の意を込めて言う。
「そっそうです! いくらフェリシアーノくんでもさんをからかうなんて許しませんよ!」
フェリシアーノはキョトンとした。
そして、その瞳がやわらかく目を細められる。
彼は緩やかな所作で、私の耳元に口を寄せ
「俺は本気だよ」
と、囁いた。
「…………」
「っ!?」
よろめいた私を、慌ててルートが支える。
かろうじて卒倒を免れた私の視界のはしで、フェリシアーノがにこにこと笑んでいた。
燃えるように熱い顔をサッとそらす。
「じゃあ、俺と付き合ったらどんなかんじだと思う?」
のんきに続けるフェリシアーノの無邪気な笑みに、嫌な予感がした。
なにか答えなければ、さらなる攻撃を食らうような気がする。